M2622SX,M2623SX,M2624SX:設定

HDDをシステムに塔載する前に,ユーザは以下の設定端子およびSCSI終端抵抗のセッティングを行う必要があります.
図1に,これらの設定端子とSCSI終端抵抗モジュールの位置を示します.設定端子の位置はプリント板に捺印されている記号によって異なります。

留意
  1. 本節に記述されていない設定端子は,ユーザによる変更が禁止されています.工場出荷時の設定状態を変更しないで下さい.

  2. 電源投入状態で,CNH1(オフライン自己診断)/CNH7(ライトプロテクト)以外の設定端子の設定変更およびSCSI終端抵抗モジュールの着脱を行わないで下さい.

  3. 設定端子の短絡には,工場出荷時に装着されている専用短絡プラグを使用して下さい.

プリント板に捺印されている記号が B17B-1790-0050Aの場合 →

プリント板に捺印されている記号が B17B-1790-0030A/-0040Aの場合 →

プリント板に捺印されている記号が B17B-1790-0250Aの場合 →

図1 設定端子と終端抵抗の位置


1 設定端子(CNH7)

設定端子の種類と工場出荷時の設定状態を図2に示します.


図2 設定端子(CNH7)

重要
以下の説明において,設定端子の“ショート”および“オープン”は次の意味で使用されます.


(1)SCSI ID

表1に示すようにHDD自身のSCSI IDを設定します.

表1 SCSI IDの設定(CNH7)
SCSI ID5-63-41-2
0オープンオープンオープン
1オープンオープンショート
2オープンショートオープン
3オープンショートショート
4ショートオープンオープン
5ショートオープンショート
6ショートショートオープン
7ショートショートショート*
* 工場出荷時の設定

留意
同一のSCSIバス上に接続されるSCSIデバイス間で,重複したSCSI IDが存在しないように設定して下さい.

重要
ARBITRATIONフェーズで競合した場合のSCSIバス使用権の優先順位は,以下のようにSCSI IDによって決まります.

7 > 6 > 5 > 4 > 3 > 2 > 1 > 0

(2) ライトプロテクト

設定端子(CNH7)のピン7-8間の設定は,HDDが備えているライトプロテクトを禁止または許可します(表2に示します).本設定端子で,ディスク媒体への書込みを禁止することができます.

表2 ライトプロテクトの設定(CNH7)
ライトプロテクト7-8
ライト動作禁止オープン
ライト動作許可ショート*
* 工場出荷時の設定


2 設定端子(CNH1,CNH2,CNH3)

設定端子の種類と工場出荷時の設定状態を図3に示します.
CNH3は,スピンドルシンクロナイゼーションの機能を使用しない場合,オープンまたはショートの設定に関係なく,HDDは正常に動作します.

重要
以下の説明において,設定端子の“ショート”および“オープン”は次の意味で使用されます.


図3 設定端子(CNH1,CNH2,CNH3)

(1) SCSI終端抵抗用電源

表3に従って,HDD上のSCSI終端抵抗モジュールへの電源供給方法およびSCSIバス上のTERMPWR線の使用方法を設定します.図4に,HDDのSCSI終端抵抗回路の構成を示します.

表3 SCSI終端抵抗用電源の設定(CNH1)
SCSI終端抵抗への電源供給方法23-2421-22
終端抵抗には,HDD自身およびTERMPWRピンの双
方から電源を供給する.また,TERMPWRピンには
HDDから電源を供給する.
ショートショート*
TERMPWRピンは未使用とする.HDD上の終端抵抗
には,HDD自身だけから電源を供給する.
オープンショート
終端抵抗には,HDD自身の電源は供給しない.
HDD上の終端抵抗には,TERMPWRピンだけから電
源が供給される.
ショートオープン
* 工場出荷時の設定

備考. HDDがSCSIケーブルの両端以外の位置に接続される場合には,HDD上には終端抵抗モジュールは搭載しません.


図4 SCSI終端抵抗回路の構成

(2) モータ起動モード

表4に従って,HDDのスピンドルモータの起動制御方法を設定します.この設定は電源投入時の動作モードを決めるだけであり,どちらのモードを選択しても,スピンドルモータの停止および再起動はSTART/STOP UNITコマンドで制御することができます.

表4 モータ起動モードの設定(CNH1)
スピンドルモータの起動タイミング19-20
電源投入後,直ちにモータが起動される.ショート*
モータの起動はSTART/STOP UNITコマンドで制御オープン
* 工場出荷時の設定

(3) LED表示条件

フロントパネル面のLED,または外部オペレータパネル上のLED点灯条件を,表5に従い設定します.

表5 LED表示条件の設定(CNH1)
LEDの表示条件17-18
HDDが動作中のときに点灯ショート*
HDDがReady状態のときに点灯オープン
* 工場出荷時の設定

(4) 同期モード転送要求

表6に従って,ターゲットからの同期モードデータ転送要求を許可するか否かを設定します.“許可”に設定すると,電源投入後の最初のコマンド発行時に,HDDは“Synchronous Data Transfer Request”メッセージをイニシエータに対して送信します.

表6 同期モード転送要求の設定(CNH1)
同期モード転送15-16
許可ショート*
禁止オープン
* 工場出荷時の設定

重要
  1. 本設定端子の設定は,非同期モード転送の動作には何も影響を与えません.

  2. 同期モード転送要求を禁止するように設定した場合は,HDDは以下のように動作します.

    • イニシエータからSYNCHRONOUS DATA TRANSFER REQUESTメッセージが送られてきたときは,HDDは正常に応答し,同期モードデータ転送を可能とします.

    • HDDからイニシエータに対して,SYNCHRONOUS DATA TRANSFER REQUESTメッセージを送信することはありません.

  3. 同期モードデータ転送での最大データ転送速度は,HDDとイニシエータ間でのSYNCHRONOUS DATA TRANSFER REQUESTメッセージの交換により決定されます.イニシエータは,システムのSCSIバスの信号伝送特性とイニシエータ自身のデータ受信能力を十分に考慮して,メッセージ交換時にHDDに送信するパラメタを決定する必要があります.

    HDDは最大5MB/sまでの同期モード転送を実行することができますが,SCSIバスの構成とその伝送特性はシステムにより異なるため,実際に安定してデータ転送を実行可能な転送速度の上限は,システムごとに固有に決定する必要があります.

  4. 参考として,同期モードのHDDのデータ転送速度と,SCSIバス上のシステム構成の制限を以下に示します.

    備考. 以下の記述は目安であり,実際にはシステムごとに固有に評価する必要があります.

    HDDの最大転送速度
    (MB/s)
    SCSIケーブルの制限長
    (m)
    接続可能なSCSIデバイス数
    (イニシエータを含む)
    3〜5**
    2.67以下6.08

    * SCSIのバスのケーブル長および接続可能なSCSIデバイス数は,各々のシステムで決定して下さい.

(5) SCSIバスパリティ

SCSIデータバスのパリティビットのチェックを行うか否かを,表7に従って設定します.

表7 SCSIバスパリティの設定(CNH1)
HDDによるSCSIデータバスのパリティチェック13-14
実行するショート*
実行しないオープン
* 工場出荷時の設定

(6) リセレクションリトライ

RESELECTIONフェーズでのリトライ処理のモードを,表8に従って設定します.

表8 リセレクションリトライの設定(CNH1)
RESELECTIONフェーズのリトライ回数9-10
10回オープン
∞(無限大)ショート*
* 工場出荷時の設定

(7) ユニットアテンション報告モード

HDDがユニットアテンション条件を保持しているときに受け取ったコマンドに対する応答方法を,表9に従い設定します.この設定はシステムの要件により選択しますが,SCSI標準仕様(工場出荷時の設定)を使用することを推奨します.

表9 ユニットアテンション報告モードの設定(CNH1)
ユニットアテンション条件保持状態時の
HDDの応答
7-8
INQUIRYコマンド,REQUEST SENSEコマンド,または
PRIORITY RESERVEコマンド以外のコマンドに対しては,
CHECK CONDITIONステータスを応答する.
(SCSI標準仕様)
ショート*
受け取ったすべてのコマンドは,正常に実行する.
(ユニットアテンション条件に起因したCHECK CONDITION
ステータスは報告されない.)
オープン
* 工場出荷時の設定

(8) オフライン自己診断

設定端子(CNH1)のピン5-6間は,HDDのオフライン自己診断を起動/停止させるための端子です(表10に示します).オフライン自己診断では,HDDのコントローラ機能の正常性やディスクドライブのリード/ライト基本動作をテストすることができます.通常は,この設定端子はオープン状態にしておいて下さい.

表10 オフライン自己診断の設定(CNH1)
オフライン自己診断5-6
実行(診断モード)ショート
停止(通常動作モード)オープン*
* 工場出荷時の設定

(9) SCSIレベル

  1. INQUIRYコマンドでHDDからイニシエータに報告するデータの表示内容を,表11に従って設定します.設定するモードは,システムのソフトウェアの要件によってどちらかを選択します.

  2. SCSI-1/CCSモードを選択した場合にはMODE SENSEコマンドで転送するパラメタを次のようにします.

    1. ページコード3Fを指定した場合

      1. ページ7およびページ8は転送しないで下さい.
      2. ページ1,ページ2およびページ4は,CCSの規定長で転送して下さい.

    2. ページ1,ページ2およびページ4を個別に指定された場合は,CCSの規定長で転送して下さい.

    3. ページ7およびページ8を個別に指定された場合は,現仕様で転送して下さい.

    4. VERIFYのリカバリパラメタにはページ1のリカバリパラメタを使用して下さい.

  3. SCSI-1(CCS)モードを選択してREQUEST SENSEコマンドが転送バイト長=X'00'で発行された場合HDDは,4バイトのセンスデータを転送して下さい.

表11 SCSIレベルの設定(CNH1)
_INQUIRYデータINQUIRY
VPD情報
3-4
バイト2,ビット2〜0
(ANSI Version)
バイト3,ビット3〜0
(Response Data Format)
バイト7
(装備機能)
SCSI-2
モード
'0, 1, 0'
(SCSI-2)
'0, 0, 1, 0'
(SCSI-2)
ビット対応に,HDDに装備されている機能を示す.有効オープン
SCSI-1
/CCSモード
'0, 0, 1'
=ANSIX3.131-1986
(SCSI-1)
'0, 0, 0, 1'
=ANSIX3T9.2/85-52
(CCS)
全ビット'0'無効ショート*
* 工場出荷時の設定

(10) PERデフォルト値

MODE SELECTパラメタのリード/ライト・エラー・リカバリ・パラメタ(ページコード=1)およびベリファイ・エラー・リカバリ・パラメタ(ページコード=7)のPER(post error)フラグのデフォルト値を,表12に従って設定します.

表12 PERデフォルト値の設定(CNH1)
MODE SELECTパラメタのPERデフォルト値1-2
“0”ショート*
“1”オープン
* 工場出荷時の設定

重要
ユーザ固有のMODE SELECTパラメタの値は,MODE SELECTコマンドでの指定によって,ディスク媒体上にセーブしておくことができます.
工場出荷時の状態では,HDDにはMODE SELECTパラメタのセーブ値は存在していません.本設定端子で設定した値は,セーブ値が存在していない場合に,PERフラグの初期値として使用されます.ユーザによりセーブ値が生成された後は,HDDは電源投入時にセーブ値を読み出して,その値を使用して動作します(すなわち本設定は無効となります).


3 SCSI終端抵抗

工場出荷時,HDDにはSCSI用終端抵抗モジュールが搭載されています.搭載位置については,図1および図2を参照して下さい.これらの終端抵抗モジュールはソケット実装されており,SCSIバス上へのHDDの接続位置により,以下のどちらかとします.
  1. SCSIケーブルの両端のどちらかにHDDを接続する場合は,終端抵抗モジュールは搭載したままとし,取り外さないで下さい.

  2. SCSIケーブルの両端以外の位置にHDDを接続する場合は,搭載されている終端抵抗モジュールを取り外して下さい.

留意
  1. 終端抵抗モジュールを取り外すときは,適切な工具を使用し,抵抗モジュールのピンおよび搭載用ソケット,または近接の他の部品にダメージを与えないように十分注意して下さい.

  2. 終端抵抗モジュールを再取付けする場合は,搭載方向に注意し,確実に装着されていることを確認して下さい(図5に示します).



* 終端抵抗モジュールの1番ピンを示します.
図5 SCSI終端抵抗モジュール

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